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農業AIは技術より「業務整理」が先
自治体が生成AIを導入する前に決めるべき10項目 農業分野でも、生成AIやAIエージェントへの関心が急速に高まっています。 自治体やJA、農業法人の担当者からも、 「農業で生成AIをどのように使えるのか」「熟練農業者の技術をAIで継承できないか」「農業者からの問い合わせ対応を効率化できないか」 といった声を聞く機会が増えてきました。 しかし、農業AIの導入で最初に検討すべきことは、どのAI製品を使うかではありません。 先に整理すべきなのは、 どの業務を改善するのか AIにどのデータを使わせるのか AIに任せる判断と、人が行う判断をどう分けるのか AIの回答を誰が確認するのか 導入後に誰がデータを更新し、運用を続けるのか という、業務・データ・責任体制です。 農業AIの成否は、AIモデルの性能だけでは決まりません。AIが機能するように、業務、データ、人の役割を再設計できるかどうかで決まります。 農業で生成AIを活用する際の結論 農業で生成AIを活用する場合、最初にAI製品を選ぶのではなく、解決したい業務、使用するデータ、人が最終判断する範囲、回答を
Tomoyuki Watanabe
2 日前読了時間: 12分


スマート農業人材育成研修のご案内
技術紹介で終わらせない、経営判断につなげる実践型研修 スマートアグリコンサルタンツ合同会社では、自治体、JA、普及指導機関、農業関係団体等の皆様に向けて、農業者のスマート農業導入を支援する「スマート農業人材育成研修」をご提供しています。 本研修は、単なる技術紹介や事例紹介にとどまらず、受講者自身が自らの経営課題を整理し、導入すべき技術、導入時期、費用対効果、導入後の運用体制を考えられるようになることを目的とした実践型プログラムです。 スマート農業は、ロボット農機、ドローン、環境モニタリング、営農管理システム、AI等の技術そのものを導入することが目的ではありません。労働力不足、作業の属人化、品質・収量の安定化、技術継承、コスト削減、販売・出荷対応といった経営課題を解決するための手段です。 本研修では、受講者が「自分の経営にとって、どの技術を、何のために、どの順番で導入すべきか」を判断できる状態を目指します。 研修の特長 1. 経営課題から始める「課題ファースト設計」 受講前アンケートやヒアリングを通じて、受講者の経営類型、主要品目、経営規模、労働力
Tomoyuki Watanabe
7月11日読了時間: 4分


最近のスマート農業トレンドを読み解く
技術導入の時代から、「農業経営の再設計」の時代へ スマート農業という言葉が使われ始めてから、かなりの年月が経ちました。 当初は、ロボットトラクター、ドローン、水管理システム、環境制御装置、AI画像解析といった、いわゆる「先端技術」そのものに注目が集まっていました。もちろん、これらの技術は今でも重要です。 しかし、最近のスマート農業のトレンドを一言で言えば、“技術を入れる農業”から、“技術が機能する農業へ変える”段階に入ったということです。 つまり、スマート農業の主戦場は、もはや機械やシステム単体ではありません。ほ場の形、作業動線、栽培方法、出荷規格、人員配置、データの使い方、さらには産地全体の運営方法まで含めた、農業経営そのものの再設計に移っています。 なぜ、いまスマート農業なのか 背景にあるのは、農業者の急速な減少です。 農林水産省の資料では、今後20年間で基幹的農業従事者が、2023年時点の116万人から30万人程度、つまり現在の約4分の1まで減少する見込みが示されています。従来の人手を前提とした農業生産だけでは、食料の安定供給を維持すること
Tomoyuki Watanabe
7月5日読了時間: 8分


スマートアグリシンポジウム in 東京 2026 開催レポート
「生産から食卓までをデータで繋ぐ」時代へ スマートフードチェーン実現に向けた最前線 2026年5月14日、一般社団法人日本農業情報システム協会 主催による「スマートアグリシンポジウム in 東京 2026」が、日比谷コンベンションホール にて開催されました。 今回のテーマは、 「生産から食卓までをデータで繋ぐ ~スマートフードチェーンの実現に向けて~」 農業生産だけではなく、 出荷 流通 卸売市場 物流 販売 消費 までを“データ”でつなぐ取り組みが紹介され、日本の農業DXが次のフェーズへ入りつつあることを強く感じるシンポジウムとなりました。 「スマート農業」から「スマートフードチェーン」へ これまでのスマート農業は、 自動運転トラクター ドローン AI センサー など、“生産現場”に焦点が当たりがちでした。 しかし今回のシンポジウムでは、 「収穫した後」のDX が主役となりました。 実際、日本の農産物流通現場では今なお、 手書き伝票 FAX 電話注文 Excel印刷 人海戦術の転記 が数多く残っています。 つまり、 「農業DX最大のボトルネック
Tomoyuki Watanabe
5月16日読了時間: 5分


「農業は男性の仕事」が変わり始めている 女性農業者×スマート農業で切り拓く新しい農業の形
「農業は男の仕事。」 そんな常識が、いま静かに崩れ始めています。 かつて農業は、 重労働 大型機械 長時間作業 泥だらけ 男性中心 そんなイメージが当たり前でした。 実際、これまでの農業は身体的負荷が大きく、 「筋力」「経験」「体力」 が圧倒的に重要な世界だったのも事実です。 しかし今、AI、自動化、ロボット、スマート農業によって、 “農業をできる人” そのものの定義が変わり始めています。 しかも興味深いのは、単に 「女性でもできるようになった」 という話ではないことです。 むしろ現在は、 女性ならではの感性や視点そのものが、 次世代農業の競争力になり始めている のです。 スマート農業が変え始めた「農業の前提」 これまで農業では、 大型機械を扱う筋力 長時間労働 重い資材運搬 真夏の重労働 属人的な経験と勘 などが大きな壁でした。 しかし現在は、 自動操舵トラクタ RTK-GNSS AI画像解析 ドローン センサー 自動環境制御 作業自動記録 などが急速に普及し始めています。 例えば、直進アシスト付き田植機やロボットトラクタによって、これまで熟練
Tomoyuki Watanabe
5月9日読了時間: 6分


もう「AIを入れるか?」ではない農業現場で“本当に使えるAI”とは何か
「AIが農業を変える」 そんな言葉を聞いて久しいですが、2026年の今、ようやく農業AIは“未来の話”から“現場実装の話”へ移り始めています。 ただし、ここで大切なのは、SF映画のような完全無人農場をいきなり目指すことではありません。 今、農業現場で広がり始めているAIは、農業者を置き換えるものではなく、農業者を助けるAIです。 具体的には、 人手不足を補うAI ベテラン農家の勘を補完するAI 病害虫や生育状態の判断を支援するAI 作業記録やデータ入力の負担を減らすAI 農業支援者の判断力を高めるAI です。 つまり、農業AIの本質は「人を減らす技術」ではなく、人が足りない時代に、農業の判断・作業・継承を支える技術だと言えます。 なぜ今、農業AIが現実化しているのか 背景には大きく2つの変化があります。 ① 農業現場から“経験者”が減っている 農業の人手不足は、単に作業する人が足りないという問題だけではありません。 より深刻なのは、経験豊富な農業者、営農指導員、普及員など、現場で判断し、教え、伴走できる人材が減っていることです。...
Tomoyuki Watanabe
5月8日読了時間: 8分


農業の事業継承は“引き継ぐ”だけでは失敗する理由
― 日本の農業を止めている「最大の誤解」とは ― 「農業は後継者不足が深刻だ」 ニュースでも現場でも、よく聞く話です。でも、少しだけ立ち止まって考えてみてください。 👉 本当に問題は「人がいないこと」なのでしょうか? 実は、現場を見ていくと全く違う景色が見えてきます。 結論から言います。 👉 人がいても、ほとんどの農業は“引き継げる状態になっていない” これが、日本の農業が抱える本質的な問題です。 ■最大の誤解:後継者さえいれば解決する? 「若くてやる気のある後継者がいれば大丈夫」 これは一見正しそうに見えますが、現場ではむしろ危険な考え方です。 なぜなら、 👉 “受け皿である経営そのもの”に問題があるからです 実際に起きているのはこんなケースです。 ■現場で起きている“失敗のリアル” ① 親が突然引退② 準備ゼロで後継者が現場に入る③ 何をやっているのか分からない④ 品質が維持できない⑤ 顧客が離れる⑥ 数年で経営が崩れる これは珍しい話ではありません。 そして重要なのは、 👉 これは後継者の能力の問題ではない ということです。 👉
Tomoyuki Watanabe
5月2日読了時間: 4分


【現地レポ】地方は“ベンチャーの時代”へ。ふるさと住民と企業人がつくる新しい地域のカタチ
2026年4月21日、品川で開催されたイベント『地域とつながる新しい働き方・暮らし方』 正直、このイベントを一言で表すとこうなります。 👉 地方は今、ベンチャー化している 『地域とつながる新しい働き方・暮らし方』〜ふるさと住民登録制度が拓く未来〜(北海道上川町・長野県飯綱町・山梨県甲州市 共同開催) | Peatix ■ 地方は“衰退”ではなく“進化”している よく「消滅可能性都市」という言葉を耳にします。 でも現場を見ると、むしろ逆です。 いくつかの地域では、**驚くほどのスピードと柔軟性で“ベンチャー拠点化”**が進んでいます。 その象徴が今回の3自治体です。 ■ 圧倒的なギャップがチャンスを生む まず象徴的な数字。 👉 北海道上川町・人口:約3,000人・観光客:年間185万人 この時点で構造は明確です。 👉 資源はあるが、人が足りない つまりこのギャップこそが、 👉 “外の人が価値を発揮できる余白” なんです。 ■ キーワード①:ふるさと住民 今回の議論の核がこれ👇 👉 ふるさと住民登録制度 これは簡単に言うと、 観光客でもな
Tomoyuki Watanabe
4月30日読了時間: 4分


今、農業は“つながる”時代へ──スマートアグリシンポジウム2026開催【参加無料】
2026年5月14日、東京・日比谷にて「スマートアグリシンポジウム in 東京 2026」が開催されます。 今回のテーマは、今の農業の本質を突いています。 生産から食卓までをデータで繋ぐ~スマートフードチェーンの実現に向けて~ ■そのデータ、本当に“つながっていますか?” ここで一つ、率直にお聞きします。 そのセンサーやシステムが生み出したデータ、農場の外と本当に繋がっていますか? 環境センサー、作業記録、ドローン、ロボット…。ここ数年で、農業現場のスマート化は大きく進みました。 これは間違いなく素晴らしい進化です。 しかし今、業界全体がぶつかっている壁があります。 「データが農場の中で止まっている」 この状態では、せっかくのデータも本来の価値を発揮できません。 ■“部分最適”から“全体最適”へ これまでのスマート農業は、 作業の効率化 見える化 省力化 といった現場単位の最適化(部分最適)が中心でした。 しかしこれからは違います。 生産、出荷、流通、販売、消費。 このすべてを“データでつなぎ切る”こと。 どこか一つでも連携が途切れれば、その瞬間
Tomoyuki Watanabe
4月30日読了時間: 3分


スマート農業は“導入”で終わっていないか?― 都道府県・市町村・JAが今取り組むべき「次の一手」とは
― 都道府県・市町村・JAが今取り組むべき「次の一手」とは スマート農業は“導入”で終わっていないでしょうか。 補助金を活用し、機械やシステムの導入は確実に進みました。しかし、その先の「農業経営が変わる」という本来の目的にまで到達している地域は、決して多くないのが実情ではないでしょうか。 都道府県や市町村として、多くの予算と労力をかけて推進してきたスマート農業施策。その成果が「経営の変化」として現れているか、いま改めて問われています。 スマート農業は「実装フェーズ」へ 令和6年10月に施行された「スマート農業技術活用促進法」により、スマート農業は大きな転換点を迎えました。 これまでの「実証」や「技術導入」中心の段階から、農業経営そのものを変革していく「社会実装・経営転換」のフェーズへと移行しています。 つまり今問われているのは、**「何を導入するか」ではなく、「どう経営を変えるか」**です。 なぜ成果につながらないのか 現場では、次のような課題が顕在化しています。 高額な機械を導入したが、費用対効果が見えない データは蓄積されているが、経営判断に
Tomoyuki Watanabe
4月25日読了時間: 4分


【最大3億円補助】スマート農業・農業支援サービスの第3次公募が開始!制度のポイントを徹底解説
はじめに 農業者の高齢化や人手不足が深刻化する中、農林水産省は「スマート農業技術の活用割合を令和12年度までに50%以上に引き上げる」という目標を掲げています。 その強力な後押しとなるのが、**「スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業」**です。 この度、令和7年度補正予算による**第3次公募(令和8年3月13日~5月20日)**が開始されました。本記事では、特に注目度の高い2つの支援メニューの概要や補助上限額、申請のポイントについて分かりやすく解説します! 注目の2大支援メニュー 今回の公募では、大きく分けて以下の2つの支援枠が用意されています。 1. スマート農業技術と産地の橋渡し支援(上限500万円・定額補助) 「市販のスマート農業機械を導入したいが、うちの品目・栽培方法には合わない…」といった課題を解決するための支援です。 支援内容 : 既存のスマート農業機械を異なる品目や産地独自の栽培方式に適応させるための改良(カスタマイズ)、データ収集、実証試験など。 対象経費 : 専門家への謝金、カスタマイズにかかる資材費・委託費、実
Tomoyuki Watanabe
3月20日読了時間: 4分


スマート農業は“導入する時代”から“選ばれる時代”へ
― 実証バブル崩壊後に生き残るプレイヤーの条件 ― スマート農業は明確にフェーズが変わった。 2019年以降、農林水産省のスマート農業実証プロジェクトを契機に、ドローン、センサー、自動化機械の導入は急速に進んだ。各地で成果が報告され、技術的な有効性は一定程度証明されたと言ってよい。 しかし現在、現場では別の問題が顕在化している。 導入されたが使われていない機器。担当者の異動とともに止まるプロジェクト。補助金が切れた瞬間に消えるサービス。 つまり、 「導入したが、継続されない」 という問題である。 本稿では、政策・統計・現場のデータを踏まえながら、スマート農業がなぜ「導入の時代」から「選ばれる時代」へ移行したのか、その構造を整理する。 実証は成功したが、普及はしていない まず押さえておきたいのは、「スマート農業は普及している」という認識は必ずしも正しくないという点である。 農林水産省の調査によれば、スマート農業技術の導入率は主要技術でも2〜3割程度にとどまる。特に中小規模経営ではさらに低い。 導入障壁として挙がるのは、 ・初期費用が高い・費用対効果
Tomoyuki Watanabe
3月19日読了時間: 5分


新規事業開発の現場では何が起きているのか
― 現場の摩擦と、前に進めるための解き方 ― 新規事業という言葉には、どこか華やかな響きがあります。しかし実際の現場で起きているのは、アイデアやビジネスモデルの議論よりも、もっと泥くさい問題です。社内の温度差、既存事業との摩擦、説明責任の重さ、失敗への恐れ、そして「本当にやるのか」という覚悟の問題。新規事業の現場は、実はそうした現実との格闘の連続です。 特に地域企業や中堅・中小企業、あるいは長い歴史を持つ企業にとって、新規事業は単なる売上づくりではありません。むしろ「次の時代に会社を残すための挑戦」という意味合いを持つことが多いのです。では、新規事業開発の現場では実際に何が起きているのか。そして、それをどう解いていくのがよいのでしょうか。 総論賛成、各論抵抗が起きる 新規事業の必要性そのものに反対する人は、実はそれほど多くありません。「将来のためには必要だ」「今の事業だけでは厳しい」「新しい柱を作らなければならない」。こうした総論には、多くの人が同意します。 ところが、いざ具体的に動かそうとすると止まります。理由は単純で、総論賛成・各論抵抗が起き
Tomoyuki Watanabe
3月14日読了時間: 5分


スマート農業は「ロボット」ではなく「経営戦略」である── 山梨県立農林大学校 講義レポートから見えた、若き農業者たちの“本質的な気づき”
先日、山梨県立農林大学校にて「有機農業及び先端技術特別講座(ICT研修)」の講師を務めました。 講義後、養成科1年の学生28名全員から提出された研修レポートを拝見し、強い手応えを感じました。そこに書かれていたのは、「新しい技術はすごい」という表層的な感想ではありません。 農業を“経営”としてどう成立させ、どう守り、どう次世代につなぐか という、本質的な問いでした。 本稿では、学生たちのレポートから浮かび上がった「次世代農業者が捉えるスマート農業のリアル」を、専門家の視点で整理します。 1. スマート農業は「ハイテク」ではなく「課題解決の手段」 講義前、多くの学生がスマート農業に対して抱いていたのは、 ロボット・AI・ドローンといった最先端技術 大規模法人向けの高コストな仕組み 自分たちにはまだ早い世界 というイメージでした。 しかし講義後のレポートでは、その認識が明確に変化しています。 「ICTは目的ではなく、課題解決のための手段」 「経営のリスクを抑え、収益を最大化するための考え方」 「自分たちの農業を説明できるようにする道具」...
Tomoyuki Watanabe
1月28日読了時間: 4分


鹿児島県主催 令和7年度「かごしまスマートファーマー育成セミナー」受講生募集
― 地域特性を踏まえたスマート農業導入と地域連携を学ぶプログラム ― 鹿児島県は、「令和7年度 スマート農業導入加速化推進事業」の一環として、「かごしまスマートファーマー育成セミナー」を2026年1月から2月にかけて開催します。本セミナーの企画・運営は、スマートアグリコンサルタンツ合同会社(代表:渡邊智之)が担当します。 本セミナーは、 農業者に加え、市町村・JA等の関係機関も対象 とし、スマート農業を単なる技術導入で終わらせるのではなく、 地域特性に即した経営改善や地域連携につなげること を目的としています。 プログラムは 各地域2回構成 で実施します。第1回は全参加者共通のオンライン講義、第2回は地域別(大隅・薩摩・種子島)に分かれ、対面形式で開催します。 ■ 第1回(全地域共通・オンライン開催) 日時:2026年1月14日(水)13:30~16:30 テーマ:全国先進事例から学ぶスマート農業の最新動向 ゲストスピーカー: 滋賀県 有限会社 フクハラファーム代表取締役 福原 悠平 様 講演テーマ: 大規模経営におけるスマート農業導入~...
Tomoyuki Watanabe
2025年12月17日読了時間: 3分


スマート農業技術活用促進法を読み解く:日本の農業OSアップデート計画
日本の農業がいよいよ本格的に“OSアップデート”のフェーズに入りました。その象徴が、2024年に施行された 「スマート農業技術活用促進法」 です。 私はこれまで農林水産省でスマート農業政策に携わり、自治体・農業法人・スタートアップと現場で伴走してきました。その視点から見ても、この法律は日本農業の構造を変えるターニングポイントになると感じています。 今回は、ポッドキャストとYouTubeでも取り上げたこの新制度の本質を、実務者にも一般の方にも伝わる形で整理していきます。 1|なぜ今「スマート農業技術活用促進法」が必要なのか 日本の農業は長年、「高齢化」「人手不足」「担い手減少」という課題を抱えてきました。しかし、政府は今回 従来とはまったく違うアプローチ を取りました。 それが 「テクノロジーを農業の標準装備にする」 という明確な方針です。 背景には、改正食料・農業・農村基本法があります。ここで初めて、 「生産性向上には先端技術活用が不可欠」 と国の基本方針に明記されました。 つまり今回の法律は、その方針を“実行に移すエンジン”。...
Tomoyuki Watanabe
2025年11月20日読了時間: 5分


行政ではもう支えきれない農村を救う、新しい伴走者。「農村プロデューサー」という希望と、私自身の学び
日本の農村は今、静かに、しかし確実に転換点を迎えています。人口減少と高齢化の進行、コミュニティの弱体化、そして行政人員の大幅な減少。これまで地域を支えてきた“人”がいなくなりつつある現実は、現場で活動していてもひしひしと感じます。 そんな危機の中で、新しい光として生まれたのが**「農村プロデューサー(農村地域プロデューサー)」です。 私は、 先日この「農村プロデューサー養成講座」を受講し、無事修了しました。 講座で得た学びは、私自身の活動に直結するものであり、今後の地域支援・プロジェクト形成にとって大きな財産になったと感じています。 今回の記事では、この講座が目指す人材像、育成設計の意味、そして私自身が受講して得た実感について深く共有します。 ■ 行政人員が激減する日本の農村 農水省の公式資料には、次のような衝撃的データが示されています。 都道府県の農林水産担当職員:15年で23.5%減 市町村の農業担当職員:27%減 行政のスリム化は避けられない流れです。その一方で、農村の抱える課題は複雑化し、より“個別の事情”を理解した伴走が必要になっていま
Tomoyuki Watanabe
2025年11月19日読了時間: 4分


【異業種×スマート農業】参入企業が必ず知るべき“成功の方程式”とは?
「うちの技術、絶対に農業に役立つはずなのに、なぜか農家さんには刺さらない…」 スマート農業に参入した異業種企業の方から、私はこれを何度も聞いてきました。素晴らしい技術があるのに手応えがない。問い合わせはそこそこあるのに、導入までなかなか進まない。その裏側には、 技術力だけでは超えられない“深い溝” が横たわっています。 1. なぜ今スマート農業がこんなに注目されているのか まず、大前提となる日本の現状から。 2020年時点で、農業に従事している人の 約7割(69.6%)が65歳以上 です。この数字が意味しているのは、 一人あたりの作業負担が増え続けること ベテラン農家の「勘」「経験」「さじ加減」といった暗黙知が、引退とともに急速に失われつつあること という、かなり切実な構造的問題です。 この課題を解決する手段として期待されているのが「スマート農業」です。ドローンによる農薬散布、AIによる自動収穫、無人トラクター、環境センサー…農業と先端技術を掛け合わせることで、 省力化(労働力不足の補完) 技術継承(暗黙知の見える化・標準化) を同時に実現しよ
Tomoyuki Watanabe
2025年11月14日読了時間: 8分


なぜクマ被害が過去最多に?―複合要因を解剖し「共存」を現実解にする
2025年、全国でクマの出没・被害がかつてないペースで報告されています。10月末の時点で死亡事故は過去最多の9人。人身被害の件数も、統計開始以来の最悪水準。「山の話」ではなく、いまや私たちの 生活圏のすぐそば で起きている現実です。 1. 何が起きているのか ― “人里”で増えるクマの出没 これまで山奥に限られていたはずのクマ被害が、近年では 住宅地や農地、商業施設 など、日常の延長線上で発生しています。農林水産省の統計によれば、令和5年度のクマによる農作物被害額は 約7億円 。リンゴ、柿、栗、トウモロコシ、そして養蜂場――いずれも秋の味覚が被害の中心です。 特に東北地方や北陸では、秋(9〜11月)に被害が集中。冬眠前の食料不足と、生活圏への進出が重なり、危険が高まっています。 2. なぜ今クマが増えているのか ― 四つの複合要因 単一の原因ではなく、複数の要素が重なり合う「複合危機」です。 (1)生息環境の変化 中山間地域の 過疎化・高齢化 が進み、耕作放棄地や放置果樹が増加。里山の“人の手”が入らなくなった結果、クマが隠れやすく、餌を得やすい
Tomoyuki Watanabe
2025年11月10日読了時間: 4分


お米券だけじゃない──鈴木憲和大臣が見据える「スマート農業と食料政策の転換点」
はじめに こんにちは。今、日本の農政をめぐって静かに、そして熱く議論が起きています。きっかけは――“お米券”。 一見、福祉政策の話のように見えるこの新制度案。でもその背景には、 日本の農政を根本から見直そうとする動き が隠れています。そしてその中心にいるのが、43歳の若き農林水産大臣、 鈴木憲和さん です。 私はスマート農業の現場支援と政策提言の両面に関わってきました。かつて農林水産省で働いた経験から見ても、鈴木大臣の打ち出した方向性は、 「食料安全保障」と「スマート農業」を結びつける転換点 になり得ると感じています。 お米券をめぐる議論が示す“農政の深層構造” お米券構想は、「お米価格の高騰」に対応する支援策として発表されました。しかし単なる消費者支援ではなく、 米の市場価格を維持しながら、困窮層にはクーポンで支援する という二層構造を採っています。 つまり、 農家の生産意欲を削がず、 消費者への負担を軽減する、というきわめて繊細な政策バランスを取ろうとしているわけです。 SNSでは「現金の方がいい」「お米に限定するのは不公平」と賛否両論が巻き
Tomoyuki Watanabe
2025年10月30日読了時間: 4分
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