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お米券だけじゃない──鈴木憲和大臣が見据える「スマート農業と食料政策の転換点」
はじめに こんにちは。今、日本の農政をめぐって静かに、そして熱く議論が起きています。きっかけは――“お米券”。 一見、福祉政策の話のように見えるこの新制度案。でもその背景には、 日本の農政を根本から見直そうとする動き が隠れています。そしてその中心にいるのが、43歳の若き農林水産大臣、 鈴木憲和さん です。 私はスマート農業の現場支援と政策提言の両面に関わってきました。かつて農林水産省で働いた経験から見ても、鈴木大臣の打ち出した方向性は、 「食料安全保障」と「スマート農業」を結びつける転換点 になり得ると感じています。 お米券をめぐる議論が示す“農政の深層構造” お米券構想は、「お米価格の高騰」に対応する支援策として発表されました。しかし単なる消費者支援ではなく、 米の市場価格を維持しながら、困窮層にはクーポンで支援する という二層構造を採っています。 つまり、 農家の生産意欲を削がず、 消費者への負担を軽減する、というきわめて繊細な政策バランスを取ろうとしているわけです。 SNSでは「現金の方がいい」「お米に限定するのは不公平」と賛否両論が巻き
Tomoyuki Watanabe
2 日前読了時間: 4分


令和7年度から本格始動 ― 「中山間地域等直接支払制度」に見るスマート農業導入の新潮流― テクノロジーで“守る農業”から、“挑む農業”へ ―
■ はじめに 日本の農業の原風景ともいえる中山間地域の棚田や傾斜地。これらを維持するための「中山間地域等直接支払制度」が、 令和7年度(2025年度)から第6期対策として大きく刷新 されました。 単なる「農地維持の補助金」から、 地域経営・スマート農業を軸にした未来型支援制度 へ──。本記事では、その全貌と現場へのインパクトを、制度設計と技術導入の両面から専門的に解説します。 ■ 制度の目的 ― 「守る」から「稼ぐ」へと変わる文脈 中山間地域は、地形的な制約により大規模化が難しく、生産コストが高い地域です。国はこの「不利を補正」し、 農地8.4万ヘクタール(東京ドーム約1.8万個分)の減少防止 を5年間の目標に掲げています。 従来は「農地を守る活動」に対して交付する仕組みでしたが、今回の第6期では、 地域間連携(ネットワーク化)とスマート農業技術の導入 という「攻めの2本柱」が加わりました。 ■ 新設された2つの加算措置のポイント ① ネットワーク化加算 複数の集落が連携・統合して営農体制を強化 する取組を支援 10aあたり最大1万円(上限100
Tomoyuki Watanabe
10月19日読了時間: 4分


自律型除草ロボットが切り拓くスマート農業の次世代フェーズ
―補助金制度、導入事例、普及の壁を徹底解説― ■ 「除草」が抱える構造的課題 農業現場で最も“見えにくく、かつ重い”負担の一つが除草です。農林水産省や農研機構の分析によれば、除草作業は年間総労働時間の15〜25%を占め、1haあたり200〜300人時を費やすこともあります。 とくに中山間地や果樹園では、傾斜・樹間・支柱といった制約が機械化を阻み、「安全に・効率的に・薬剤に頼らず草を抑える」手段の確立が長年の課題でした。 ■ 政策が後押しする“省力化×安全×環境”の投資領域 2024年10月に施行された「スマート農業技術活用促進法」により、ロボット除草のような省力・安全・環境調和技術は、国の恒常支援対象として制度化されました。 主な支援スキームは以下の3層です。 制度 内容 補助・優遇 スマート農業技術活用促進法(新法) 生産方式革新・開発供給の2認定を通じ、税制・金融優遇 認定でJFC長期低利資金、補助事業加点 スマート農業・農業支援サービス導入総合サポート 導入・実証・事業化を一体支援 補助1/2、先進モデル加点 農地利用効率化等支援交付金 ロ
Tomoyuki Watanabe
10月16日読了時間: 4分


植物工場市場の最新トレンドと今後の展望
―高付加価値化・自動化・データ統合が鍵― 植物工場(完全閉鎖型)や次世代施設園芸は、「生産性向上」「付加価値創出」「環境負荷低減」という日本農業の目指す方向性と合致し、持続的な発展が期待されています。しかし、公開情報でも約半数が赤字とされるように、ユニットエコノミクス(UE...
Tomoyuki Watanabe
9月28日読了時間: 3分


東北大学 大学院生からのヒアリングで考えた農業DXの方向性
先日、修士論文研究の一環として、東北大学の大学院生からヒアリングを受ける機会がありました。普段は私自身が農業者や行政・企業に対してヒアリングを行う立場ですが、今回は逆に質問を受ける側として、農業DXに関する取り組みや課題を整理する貴重な時間となりました。...
Tomoyuki Watanabe
9月21日読了時間: 5分


「農業死亡事故の実態と構造的課題──スマート農業が果たす安全保障機能」
はじめに 農林水産省の統計によれば、2017年の農作業事故死亡者数は304人。就業者10万人当たりに換算すると16.7人で、他産業を大きく上回る“異常値”です。これは日本の農業が抱える構造的リスクを如実に示しています。農業は自然条件に依存するがゆえに時間的・心理的な制約が大...
Tomoyuki Watanabe
9月16日読了時間: 3分


🌱 スマート農業:日本の6000億円市場への参入ガイド
農業が抱える課題とスマート農業の可能性 日本の農業は高齢化と担い手不足が深刻です。農業従事者の約7割が65歳以上で、作業面積の拡大や人手不足が進行しています。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、 ITを軸とした先端技術を組み合わせた「スマート農業」です。ドロ...
Tomoyuki Watanabe
9月15日読了時間: 2分


🌏 世界の農業ルールづくりに参画 ― ISO/TC347と日本の挑戦
1. ISO/TC347とは何か? 2023年10月にISO(国際標準化機構)に設立された ISO/TC347(データ駆動型アグリフードシステム) は、農業から食品消費までのサプライチェーン全体を対象に、 データに基づいた意思決定を可能にする国際規格 を策定する場です。...
Tomoyuki Watanabe
9月14日読了時間: 3分


経験と勘を「見える化」するスマート農業の最前線
――岡山の白桃から稲作まで広がるDXの実装 ■ はじめに 農業の現場では、長年にわたり「経験と勘」が収穫や栽培管理の成否を分けてきました。しかし、担い手不足・高齢化が進む中、その知見を次世代に引き継ぐのは容易ではありません。そこで注目されているのが、ICTやロボットを活用し...
Tomoyuki Watanabe
9月12日読了時間: 3分


スマート農業の落とし穴? ― 「ロボット導入で売上が下がる」現象をどう捉えるか(記事考察)
ロボット導入で、なぜ売り上げや作付け面積が減るのか? スマート農業が抱える意外な落とし穴とは | Japan Innovation Review powered by JBpress 本稿は、上記の山口亮子氏の記事「ロボット導入で、なぜ売り上げや作付け面積が減るのか?」(...
Tomoyuki Watanabe
9月1日読了時間: 5分


猛暑の農業と「きこりのジレンマ」──スマート農業は“斧を研ぐ時間”になれるか?
猛暑に挑む農家の現実 スマート農業の導入が進まない深層 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン) 上記Forbes JAPANの記事を読みながら、私は「きこりのジレンマ」という寓話を思い出しました。...
Tomoyuki Watanabe
8月18日読了時間: 3分


なぜ7割の農家がスマート農業に動けないのか?―猛暑・人手不足・情報格差のリアル
こんにちは。スマート農業を専門に全国の現場と向き合っている渡邊智之です。 2025年の夏、日本の農業は再び極限状態に置かれています。炎天下での作業に加え、高温障害、収量減、品質低下、獣害など、「農業経営の不確実性」が極限まで高まる中、注目されるのが「スマート農業」です。...
Tomoyuki Watanabe
7月30日読了時間: 3分


スマート農業による「省力化投資」の最前線──国が描く2030年への変革ロードマップ
こんにちは。スマートアグリエバンジェリストの渡邊智之です。 2025年6月、農林水産省は「省力化投資促進プラン(農業)」を発表しました。 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/shouryokukatou...
Tomoyuki Watanabe
7月17日読了時間: 3分


稼げる農業の新基準──舞台ファームが切り拓く「農エネ業」の未来
こんにちは。スマートアグリエバンジェリストの渡邊智之です。今回は、仙台発の農業法人「舞台ファーム」が提示した未来志向の農業戦略について、専門家の視点から掘り下げていきたいと思います。 ■ 舞台ファームの挑戦:農業の経営ノウハウを“外販”するという発想...
Tomoyuki Watanabe
7月15日読了時間: 4分


スマート農業イノベーション推進会議(IPCSA)設立総会レポート ~農業者主体の新たなスマート農業の幕開け~
2025年6月27日、東京・霞が関にて「スマート農業イノベーション推進会議( IPCSA/イプサ )」の設立総会が開催されました。会場は満席で、オンライン参加者も約1000名に上り関心の高さが際立つイベントとなり、「国がスマート農業に本気で取り組み始めた日」ともいえる象徴的...
Tomoyuki Watanabe
7月11日読了時間: 13分


【イベント紹介】データで農業が変わる!~WAGRIオープンデー2025で見えた、次の農業DXの一手~
こんにちは、スマート農業に取り組む渡邊智之です。今回は、2025年7月11日に開催される注目のイベント「 WAGRIオープンデー2025 」について、その意義と見どころをお伝えしたいと思います。 ■ WAGRIとは? いまさら聞けない基本情報...
Tomoyuki Watanabe
7月5日読了時間: 3分


【農業者が主役へ――スマート農業推進の新ステージ。IPCSA設立総会から見えた国家戦略の転換点】
「国が本腰を入れた日」 2025年6月27日、霞が関にて「スマート農業イノベーション推進会議(IPCSA/イプサ)」の設立総会が開催されました。会場は満席、オンラインでも約1000名が参加するなど、関心の高さが際立ったこのイベントは、まさに国がスマート農業に本腰を入れた象徴...
Tomoyuki Watanabe
6月29日読了時間: 7分


スマート農業の社会実装を加速する——令和7年度 九州技術情報連絡会議の見どころ
スマート農業が政策レベルでも法制化され、地域に根差した「現場実装」へと動き出している今、その最前線を俯瞰できる機会が近づいています。 令和7年7月9日、九州農政局と農研機構が主催する「九州スマート農業技術情報連絡会議」がオンラインで開催されます。この会議では、最新の政策動向...
Tomoyuki Watanabe
6月29日読了時間: 3分


移民か?スマート農業か?― 日本の農業を支える「労働力問題」の本質に迫る ―
【はじめに:消えゆく担い手たち】 みなさん、こんにちは。渡邊智之です。 現在、日本の農業は かつてない人手不足 に直面しています。農業従事者の平均年齢は68歳に達し、毎年約10万人が農業を離れているという統計もあります。このままでは、...
Tomoyuki Watanabe
6月17日読了時間: 4分


“第2のふるさと”で農業に出会う― ふるさと住民登録制度 × スマート農業で拓く地域との新しい関わり方 ―
みなさん、こんにちは。渡邊智之です。私はこれまで、農業のデジタル化やスマート農業の推進を通じて、都市と地方、そして人と農業をつなぐ新しい仕組みづくりに取り組んできました。 いま、そんな私たちにとって、とても興味深い制度が新たに登場しました。...
Tomoyuki Watanabe
6月14日読了時間: 3分
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