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お米券だけじゃない──鈴木憲和大臣が見据える「スマート農業と食料政策の転換点」

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はじめに

こんにちは。今、日本の農政をめぐって静かに、そして熱く議論が起きています。きっかけは――“お米券”。

一見、福祉政策の話のように見えるこの新制度案。でもその背景には、日本の農政を根本から見直そうとする動きが隠れています。そしてその中心にいるのが、43歳の若き農林水産大臣、鈴木憲和さんです。

私はスマート農業の現場支援と政策提言の両面に関わってきました。かつて農林水産省で働いた経験から見ても、鈴木大臣の打ち出した方向性は、「食料安全保障」と「スマート農業」を結びつける転換点になり得ると感じています。


お米券をめぐる議論が示す“農政の深層構造”

お米券構想は、「お米価格の高騰」に対応する支援策として発表されました。しかし単なる消費者支援ではなく、米の市場価格を維持しながら、困窮層にはクーポンで支援するという二層構造を採っています。

つまり、

  • 農家の生産意欲を削がず、

  • 消費者への負担を軽減する、というきわめて繊細な政策バランスを取ろうとしているわけです。

SNSでは「現金の方がいい」「お米に限定するのは不公平」と賛否両論が巻き起こっています。でも私は、これを単なる“お米の話”ではなく、“日本の農政の構造転換”の入口として捉えるべきだと思っています。


鈴木憲和大臣という人物:現場と制度の両方を知る“ハイブリッド型”政治家

鈴木大臣は、東京大学法学部卒、農林水産省官僚を経て、衆議院議員に転身。わずか10数年で、自身がかつて勤務した農水省のトップに就任しました。

注目すべきは、彼が繰り返し口にするフレーズ――「現場第一主義」。これは単なるスローガンではなく、実際の視察・政策運営でも貫かれています。農研機構のスマート農業実証現場を訪れ、ロボット農機・環境モニタリング・AI果樹生産など、現場の技術革新を自ら確かめています。

加えて、彼は自称“お米マニア”。制度と情熱の両輪で政策を動かす稀有なタイプの政治家だと感じます。


「お米券」と「スマート農業」が実はつながっている理由

お米券政策の本質は、「市場メカニズムを尊重しながら農業を支える」という点にあります。つまり、価格を維持(=生産者保護)しつつ、消費者へのケアをデジタルで支えるという構図。この仕組みは、まさにスマート農業・農業DXの根幹と重なります。

スマート農業とは、単にロボットやドローンを導入することではありません。データと制度を連携させて、需給・流通・消費を最適化する社会構造を作ることです。

今回の政策は、まさにその“制度レイヤーのスマート化”。政府が市場データをもとに生産量を調整し、消費支援をデジタルで管理する――。それは、スマート農業の思想が“マクロ政策”にまで広がった姿とも言えるのです。


戦略的政府調達:見えてきた鈴木流の「産業戦略型農政」

鈴木大臣は2022年の政策提言で、「戦略的政府調達」を唱えていました。これは、税金による“政府の購買力”を単なる支出ではなく、国内産業を育てるための投資と捉える考え方です。

この発想を農政に当てはめると、

  • 国内の食料生産・流通・技術産業を戦略的に支援する

  • 自給率の向上だけでなく、地域経済と雇用を守るという長期ビジョンが見えてきます。

「お米券」はその一端であり、国の購買行動を通じて農家を守る“戦略的食料政策”なのです。


専門家としての期待:スマート農業の次なる焦点

私はスマート農業の実装支援に携わる立場として、鈴木大臣のリーダーシップに3つの期待を持っています。

  1. 現場実証のスピードアップと横展開 研究開発から現場実装までの距離を短くし、地方・中山間地にも技術が届く仕組みを。

  2. データを活かす“見える化農政”の確立 圃場・気象・流通データを連動させ、国全体で需給をモニタリングする「データ農政」へ。

  3. 地域スマートモデルの評価と支援制度の刷新 自治体や農協が独自に進めるスマート農業構想を、制度的に認定・支援する仕組みを整えてほしい。


終わりに:技術と政策の「橋渡し役」として

お米券をめぐる議論は、「食料支援策か、それとも農業構造改革か」という単なる選択ではありません。むしろ、日本が“食料を守る国”としてどんな技術・制度・価値観を持つのかを問うメッセージだと思います。

現場に寄り添う政治、技術を理解する政策、そしてそれを支える地域の力。鈴木憲和大臣の就任は、その三者をつなぐ大きなチャンスです。

私もスマート農業の専門家として、「技術を現場に」「現場を政策に」「政策を未来に」――。その橋渡しを続けていきたいと思います。


 
 
 

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