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稼げる農業の新基準──舞台ファームが切り拓く「農エネ業」の未来

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こんにちは。スマートアグリエバンジェリストの渡邊智之です。今回は、仙台発の農業法人「舞台ファーム」が提示した未来志向の農業戦略について、専門家の視点から掘り下げていきたいと思います。


■ 舞台ファームの挑戦:農業の経営ノウハウを“外販”するという発想

農業といえば「現場主義」が長らく支配的でした。しかし、舞台ファームが示したのはその真逆。ノウハウ自体を商品として全国展開するという、極めて企業的な戦略です。

同社はスマート農業の技術だけでなく、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)、植物工場の無人化、そして経営手法そのものまでを含めて、「オープンプラットフォーム構想」として外部に提供し始めています。

これは単なる“農業技術の提供”ではありません。農業経営の高度化モデルの水平展開=農業の産業化とも言える大胆な一手です。


■ 「農エネ業」という新しい産業カテゴリ

舞台ファームの取り組みで特筆すべきは、農業とエネルギーの融合によって生まれた**「農エネ業」**という概念です。

  • ソーラーシェアリングによる売電収入

  • その電力を活用して稼働する無人植物工場

  • 再エネを他産業へ販売することで地域経済に還元

これらを有機的に結びつけることで、同社は**自律的かつ持続可能な農業経済圏=「アグリエコシステム」**を構築しようとしています。

農業を「生産業」として捉えるのではなく、「エネルギー+加工+データ+流通」まで含めたトータルな事業体へと転換させる構想は、スマート農業の進化系と言えるでしょう。


■ “にじのきらめき”というハイブリッド品種の意義

加えて、同社が力を入れている水稲の新品種「にじのきらめき」は、気候変動に対応した次世代の主力品種として注目されています。

  • 高温耐性

  • 倒伏しにくさ

  • 多収性

このような品種を“事業として”押し出すことで、農家の経営体質を強化しようというアプローチは、技術と経営の融合による収益モデル構築そのものです。


■ スマート農業=“共創”の時代へ

舞台ファームの針生社長は「パートナーを柔軟に組み合わせる」と発言しています。これは、技術の囲い込みではなく、共有によって市場全体を活性化させる戦略であり、非常に現代的です。

この発想は、IT業界の「API経済」や「オープンソース文化」とも共通しています。農業がいま、そうした「共創」のフェーズに入ってきたのだと実感させられます。


■ なぜ今、舞台ファームのようなモデルが求められているのか?

日本の農業は今、以下のような課題を抱えています。

  • 新規就農者数の減少(2023年度は前年度比5%減)

  • 肥料・燃料の価格高騰

  • 農業者の高齢化と離農の加速

これらは単なる経営の問題ではなく、国家の食料安全保障に直結する社会課題です。舞台ファームのような企業が“儲かる農業”のモデルを示すことで、参入者を増やし、地域を活性化させる好循環が生まれる可能性があります。


■ 地域と企業、農業と他産業の“融合”こそカギ

私自身、スマート農業の現場で多くの事例に触れてきましたが、舞台ファームのように「農業を単独で成り立たせるのではなく、他産業との掛け合わせで稼ぐモデル」を提示している事例は、今後の主流になると確信しています。

  • ソーラーシェアリングとスマートファクトリーの融合

  • 食品加工と流通までを一貫管理

  • ノウハウの知財化・外販

これらの動きは、地域の農業を「社会的事業」にとどめず、「経済的に自立したビジネス」へ昇華させる鍵になります。


■ おわりに|「稼げる農業」は実現可能な未来

舞台ファームが描く未来は、決して絵空事ではありません。必要なのは、それを実行できる仕組みとマインドセットです。

今後、こうしたモデルが全国に広がり、地域の農業経済の再生と若者の就農促進を牽引する未来に期待しています。


参考

 
 
 

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