行政ではもう支えきれない農村を救う、新しい伴走者。「農村プロデューサー」という希望と、私自身の学び
- Tomoyuki Watanabe
- 11月19日
- 読了時間: 4分

日本の農村は今、静かに、しかし確実に転換点を迎えています。人口減少と高齢化の進行、コミュニティの弱体化、そして行政人員の大幅な減少。これまで地域を支えてきた“人”がいなくなりつつある現実は、現場で活動していてもひしひしと感じます。
そんな危機の中で、新しい光として生まれたのが**「農村プロデューサー(農村地域プロデューサー)」です。
私は、先日この「農村プロデューサー養成講座」を受講し、無事修了しました。講座で得た学びは、私自身の活動に直結するものであり、今後の地域支援・プロジェクト形成にとって大きな財産になったと感じています。
今回の記事では、この講座が目指す人材像、育成設計の意味、そして私自身が受講して得た実感について深く共有します。
■ 行政人員が激減する日本の農村
農水省の公式資料には、次のような衝撃的データが示されています。
都道府県の農林水産担当職員:15年で23.5%減
市町村の農業担当職員:27%減
行政のスリム化は避けられない流れです。その一方で、農村の抱える課題は複雑化し、より“個別の事情”を理解した伴走が必要になっています。
○ 後継者不足 ○ コミュニティ維持の困難 ○ 災害・インフラ老朽化 ○ 地域資源の活用 ○ 移住者・外部人材との関係づくり
行政だけで支えきれない領域が広がり続けています。
そしてここにこそ、新しい担い手「農村プロデューサー」の存在意義があります。
■ 農村プロデューサーとは何か
講座が定義するプロデューサー像は、いわゆる「コンサルタント」ではありません。
● 答えを押し付けない
● 地域の思いを丁寧に汲み取る
● 住民と一緒に最初の一歩を形にする
● “地域の火”が消えないよう伴走する
この姿勢に私は非常に共感しました。現場に深く寄り添わず、机上の提案に終わってしまう外部支援を何度も見てきたからです。
講座のモットーである「地域に消えない火を灯す」は、単なる理念ではなく、実践全体を貫く哲学でした。
■ 私が実際に受講して感じたこと
私はこれまでスマート農業・地域DX・流通改革など、全国のさまざまな現場を支援してきました。しかし、講座を受けて痛感したことがあります。
「技術や制度の知識だけでは、人は動かない」「地域の“歴史・関係性・温度”を理解しないと本質的な変化は起きない」
講座の中で、実在する地域のケーススタディに取り組み、自分たちの考えた策が実際には“数年前に失敗していた”という現実を知った時、地域の深層を理解することの重要性を改めて痛感しました。
これは机上の勉強では絶対に得られない学びです。
■ 入門コースと実践コースの「設計が優れている理由」
講座は次の二段階で構成されます。
① 入門コース
誰でもオンライン受講可能
多様な実践者による講義
地域づくりの広い世界を知る入口
② 実践コース
選抜制
3つのステップで現場力を磨く
オンライン講義(道具を学ぶ)
模擬演習(合宿)(現実理解)
地域での実践活動(本番)
この設計は「理解 → シミュレーション → 行動」を一連の流れとして体験でき、研修で「終わらない」教育モデルになっています。
私は特に、模擬演習での“答えのない問い”に向き合うプロセスが印象に残りました。関係性・歴史・しがらみ・役割…地域の複雑さと面白さが一気に現れる瞬間です。
■ そして最大の価値は「修了後のネットワーク」
修了生、講師、農水省、そして全国の仲間が、オンラインとリアルの両面で密につながり続けています。
仮想オフィス
SNSコミュニティ
オンラインゼミ
成果共有と相談
同期との連帯
このネットワークは、地域づくりに挑む人にとって“燃料補給基地”のような存在です。
モチベーションが切れそうなとき、誰かの挑戦が薪となって火をつけてくれる。孤独な活動になりがちな地域支援者にとって、この連帯は計り知れない力になります。
■ 今後どう活かすのか
今回の講座で得た学びは、私が日々取り組んでいるプロジェクトにも非常に親和性があります。
スマート農業の現場導入支援
農業×地域DXの企画・伴走
農業物流
農村の人材育成
関係人口・地域プロデューサーの育成
これらの仕事はすべて、「地域の内側に入り、住民と一緒に火を灯す」という姿勢が不可欠です。
農村プロデューサーの学びは、私の活動の“軸”をより強固にし、次の現場での実践をより確かなものにしてくれると感じています。
■ 最後に ― あなたの地域に眠る“薪”はどこに?
地域に火を灯すには、燃える“薪”が必要です。そしてその薪は、特別な資源ではなく、
「こうなったらいいな」「これをやってみたい」
という住民の小さな願いです。
あなたの地域には、どんな薪が眠っているでしょうか?そして、その薪に火をつける最初の“火花”となる行動は何でしょうか?
農村プロデューサー養成講座の学びは、その問いに向き合うためのヒントと勇気を与えてくれます。
私自身も、修了者として、その火を各地に灯し続けていきたいと思います。







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