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スマート農業技術活用促進法を読み解く:日本の農業OSアップデート計画

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日本の農業がいよいよ本格的に“OSアップデート”のフェーズに入りました。その象徴が、2024年に施行された 「スマート農業技術活用促進法」 です。

私はこれまで農林水産省でスマート農業政策に携わり、自治体・農業法人・スタートアップと現場で伴走してきました。その視点から見ても、この法律は日本農業の構造を変えるターニングポイントになると感じています。

今回は、ポッドキャストとYouTubeでも取り上げたこの新制度の本質を、実務者にも一般の方にも伝わる形で整理していきます。


1|なぜ今「スマート農業技術活用促進法」が必要なのか

日本の農業は長年、「高齢化」「人手不足」「担い手減少」という課題を抱えてきました。しかし、政府は今回 従来とはまったく違うアプローチ を取りました。

それが「テクノロジーを農業の標準装備にする」という明確な方針です。

背景には、改正食料・農業・農村基本法があります。ここで初めて、「生産性向上には先端技術活用が不可欠」と国の基本方針に明記されました。

つまり今回の法律は、その方針を“実行に移すエンジン”。

農業の現場と技術開発の世界を同時に動かす、これまでにない設計思想です。


2|過去の実証でわかった“2つの壁”を壊しにいく法律

農業×テクノロジーには、長年ずっと解決されなかった深いギャップがあります。

① 技術と現場のミスマッチ

どれほど高性能なロボットでも、畑のレイアウトが昔のままでは動けない。F1マシンを未舗装路で走らせるような話です。

② ニーズと技術の断絶

現場には山ほど課題があるのに、技術開発は難易度の高いテーマに寄りすぎる。結果として「役に立つ技術」が生まれにくかった。

この法律は、「使う側」「作る側」両方のボトルネックを同時に解消する」ことを目的に作られています。


3|スマート農業技術活用促進法の“2つの計画”

この法律の理解は、この2本柱を押さえれば一気にクリアになります。

① 生産方式革新実施計画(使う側:農家・JA)

対象は広い。個人農家、グループ、農協まで申請可能です。

最大の特徴は「技術導入と生産方式(やり方)の変更をセットで行う」という点。

例:ロボット収穫機を入れるなら、果樹園のレイアウト(省力樹形)も変更し、ロボットが最大効率で動ける環境を整える。

これが“農業OSアップデート”という考え方の核心です。

●認定されると何が得られる?

  • 日本政策金融公庫の長期・低利融資

  • スマート農業投資促進税制(特別償却)

  • ドローンの航空法手続き簡素化

  • 各種補助金の審査で加点(ゴールデンチケット化)

② 開発供給実施計画(作る側:企業・研究者)

こちらのキーワードは「開発で終わらせない。供給まで支援」

研究室で作って終わりではなく、市場に届けて農家が使える状態まで一体で支える仕組みです。

●支援内容は?

  • 農研機構(NARO)の最先端設備の利用

  • 登録免許税の軽減(法人設立・合併)

  • 品種登録時の審査料の軽減

  • 開発中ドローン等への特例

  • 長期低利の融資

まさにスタートアップにとっての“追い風”を意図的につくっています。


4|両計画に共通する超重要ポイント:成果目標

農家側の計画には明確な数値目標が求められます。

**・5年以内に労働生産性5%以上向上

・所得は維持または向上**

単に「機械を入れました」ではダメ。技術導入が“経営の改善”につながっているかが問われます。


5|データの取り扱いは“未来の根本問題”

Q&Aには、実は非常に重要なメッセージがあります。

「データや栽培ノウハウなどの知的財産の保護に留意すること」

スマート農業=データ農業。データの所有権・利用範囲を曖昧にしたまま導入すると、後で必ずトラブルになります。

農林水産省の契約ガイドラインに沿って、・データは誰のもの?・サービス終了時の扱いは?・第三者提供は?を明確化することが必須です。


6|“申請したい人”が必ず知っておくべき3つ

動画でも触れましたが、要点だけまとめます。

① 申請はいつでもできるが、審査は時間がかかる → 早めに相談

② 個人農家でも一人で申請できる

③ 中古機も計画に入れられる(ただし税制優遇は新品のみ)

相談窓口は お住まいの地域の地方農政局。まずここに行けば道筋が見えます。


7|スマート農業が変えるのは“農場”だけではない

この法律の効果は農業経営にとどまりません。

将来的には:

  • ロボット収穫した野菜の糖度・栄養価データがスマホで見られる

  • AIが栄養バランスに合わせた献立を提案

  • コスト削減で高品質な農産物が手の届く価格に

といった、新しい「食の選び方」が生まれていきます。

これは農業者だけでなく、消費者一人ひとりの生活を変えていく法律といえます。


8|最後に:5年後、自分の農場・会社はどうなっていたいか?

スマート農業技術活用促進法は、“補助金制度”ではありません。日本の農業が未来に向けて構造転換するための、国家レベルのアップデート計画です。

この波をどう捉え、どう活かすかで、5年後の農場や地域、企業の姿は大きく変わるはずです。

私自身、今回の法律の背後にある政策思想を深く読み解きながら、現場の皆さんと一緒に「次の農業の形」をつくっていきたいと強く感じています。

あなたの農場や会社は、どんな未来を描きますか?



 
 
 

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