スマート農業の社会実装を加速する——令和7年度 九州技術情報連絡会議の見どころ
- Tomoyuki Watanabe
- 6月29日
- 読了時間: 3分

スマート農業が政策レベルでも法制化され、地域に根差した「現場実装」へと動き出している今、その最前線を俯瞰できる機会が近づいています。
令和7年7月9日、九州農政局と農研機構が主催する「九州スマート農業技術情報連絡会議」がオンラインで開催されます。この会議では、最新の政策動向に加え、実証から現場実装へと踏み出した具体的な事例も紹介される予定です。
私はこれまで、農林水産省のスマート農業実証プロジェクトに関わる中で、様々な実践者とともに課題解決に取り組んできました。今回はその経験も踏まえつつ、専門家の立場からこの会議の注目ポイントを整理してみます。
■ 開催概要
日時:令和7年(2025年)7月9日(水)13:10~17:00
形式:Web会議(Zoom)
主催:九州農政局、農研機構 九州沖縄農業研究センター
対象:スマート農業に関わるコンソーシアム関係者、支援事業体、自治体担当者など
申込締切:7月2日(水)17:00▶︎ 申込フォームはこちら
■ 注目①|スマート農業技術活用促進法の現在地
2023年に施行された「スマート農業技術活用促進法」により、スマート農業の導入・実装が法的にも後押しされるようになりました。今回の会議では、農林水産省本省・九州農政局・農研機構の三者から、法に基づく施策の概要と進捗が共有されます。制度を活かすための理解が深まる絶好の機会です。
■ 注目②|「営農タスク標準」の活用事例——さつまいもカンパニーの挑戦
今回、私が特に注目しているのが、さつまいもカンパニー株式会社による取組紹介です。私は同社で顧問を務めていた経験があり、現場のリアルな課題や技術導入の苦労も共有してきました。
プレゼンターの橋本氏は、私が共同創業したスマートアグリコンサルタンツの創設メンバーでもあり、農林水産省のスマート農業実証プロジェクトでは苦楽をともにした仲間です。
今回紹介される「スマート農業技術導入手引き書」は、単なる技術マニュアルではなく、実証で得た知見と現場での工夫を凝縮した“実装のための知恵”と言えます。特に、営農タスク標準を軸とした人材育成や経営改善の視点は、他地域・他作目にも応用可能な価値ある内容です。
■ 注目③|企業参入×耕作放棄地対策のモデルケース
農研機構と九州経済連合会による「企業の農業参入による耕作放棄地対策」も大変興味深い発表です。企業が地域農業に参入し、社会課題と事業性を両立させるモデルは、今後の農業政策にとっても重要な示唆を含みます。
■ 注目④|地域の実装状況を共有する貴重な場
各県からのスマート農業実装状況の報告も予定されています。導入支援の現場で何が課題となっているのか、成功と苦労のリアルが共有されることで、自地域の戦略立案にも役立つはずです。
■ 結びに|「点」をつなげ、現場に力を
今回の会議は、実証成果・制度・現場知見を“点”として把握し、どう“線”にしていくかのヒントが詰まっています。スマート農業は、技術や制度だけでは完結しません。現場で活かされてこそ、はじめて意味を持つものです。
そうした視点を持った関係者が一堂に集うこの連絡会議は、単なる報告会ではなく、次の一歩への「設計図」を描く場と言えるでしょう。関心ある方は、ぜひ参加を。
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